マンションを相続すると相続税を納めることになるけれども、高額な不動産などからも課税額は大きなものになるイメージを持つ人も多いといえます。さらに、相続したマンションを売却して利益が出ると売却益となる譲渡所得が発生するので譲渡所得税や住民税などの税金を払うことになるなど、マンションの相続はできれば避けたいものなど考えてしまう人も多いといえましょう。

ここでは、相続したマンションを売却した際に課税される相続税や譲渡所得、二重課税や取得費加算の特例など計算の方法などにも触れながら解説していきます。

相続したマンションを売却したときの取得費加算の特例

両親が所有していたマンションを相続したとき、相続税も払ってから売却した場合に利益が発生することで譲渡所得税や住民税などの税金を支払う必要があります。このとき、税金が安くなる特例があることをご存じの人も多いかと思われますが、これは取得費加算の特例と呼ばれるもので二重課税を防止する税負担を軽減するための措置になります。

取得費加算の特例は、相続や遺贈もしくは贈与などで取得した不動産は、原則前の所有者の取得費を引き続くことになると同時に取得時期も原則前の所有者の取得時期を引き継ぐなどの特徴があります。

この相続したマンションなどの不動産を相続してから3年10か月以内に売却もしくは譲渡を行うと譲渡所得税が軽減される相続財産を譲渡した場合の取得費の特例が適用されることになり、これを一般的に取得費加算の特例といいます。

相続により財産を受け継げば相続税がかかることになる、その財産を売却すると譲渡所得税がかかるなど1つの財産で2種類の税金が課税される二重課税になるわけです。この二重課税を軽減するための措置として、取得費加算の特例が用意されています。

課税譲渡所得の求め方を覚えておこう

取得費加算の特例は二重課税による税負担を軽減するための措置になるわけですが、課税譲渡所得の求め方はどのようになるのでしょうか。相続した不動産を売却もしくは譲渡を行うと、売却代金から取得費や譲渡費用などを差し引いた金額が譲渡所得税の課税対象部分になります。

その計算方法は、譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)で算出できます。取得費加算の特例が適用された場合、資産の取得費が増えることになるので課税対象になる譲渡所得が減ることになり、この所得額が減ると本来支払う必要がある譲渡所得税や住民税が軽減されるので実質利益が出ている場合でも節税効果を期待できるメリットがあるわけです。

ここで注意しておくべきことは、相続もしくは遺贈により取得した財産にかかる相続税額がある場合であること、その財産を相続開始の翌日から相続税の申告期限の翌日より3年を経過するまでの間に譲渡した場合などの条件を持ちます。

取得費加算の特例を受けるための要件について

取得費加算の特例を受けるためにはいくつかの条件を満たしていることが求められますが、その要件には何があるのか解説していきます。特例を受けることができる人は、相続もしくは遺贈で財産を取得している人になり、財産を取得した人に相続税が課税されているなどの基本的な条件があります。

売却する場合には、相続開始日に翌日から相続税の申告書の提出期限の翌日以降3年を経過するまでの間に所有権の移転登記が行われ譲渡が完了しているなどの条件もあります。一見、色々な制限があるように感じる人も多いかと思われますが、相続で得た財産の税金でもある相続税を納めていて、その税金の申告の提出期限から3年以内に売却が完了すると特例が適用されます。

なお、相続税の申告期限は被相続人が他界した翌日から10か月以内になるので、売却を完了させるまでの期間は相続を行ってから3年と10か月になることも覚えておきましょう。

利益や計算方法などは専門家への相談が最適

税金の計算と聞くと何となく難しくて良く分からない、相続財産を売却して利益が出る場合の特徴や利益が出ないケースには何があるのか、このような疑問を持つ人も多いといえましょう。基本的に、相続した不動産を売却して得た利益(譲渡益)は課税の対象になるので確定申告は必須です。

さらに、譲渡所得の申告は譲渡を行った不動産の取得費と減価償却費が必要なりますし、減価償却費を計算するためには取得時期が求められるなど複雑な印象を抱くケースが多いわけです。

実際、相続した不動産では相続人が対象になる不動産の情報を把握していないケースもあるので減価償却費や取得費の計算を行う際には対象となる不動産を購入したときの売買契約書を見つけることが大切です。

ただ、売買契約書が見つからないと取得費が計算できないわけですが、この場合は売却したときの譲渡額の5%相当額を取得費として計上することができます。これらのことで疑問や不安などを持つ場合は税理士などの専門家への相談がおすすめです。

相続税を払っていると譲渡税の軽減が可能

相続したマンションを売却した際に相続税をはじめ、譲渡所得や二重課税などについて解説しましたがいかがでしたでしょうか。相続税をなるべく抑えたい、売却したときにも譲渡所得税を減らしたいなど考える人は多いかと思われますが、基本的に相続税を支払っていると売却の際に利益が出たときの譲渡所得税を軽減することが可能です。

これは、相続税の取得費加算の特例が認められているからで取得費に相続税の一部を加算して譲渡益を抑えることで節税効果が期待できるわけです。