不動産を売却すれば、当該不動産に関する権利関係にも変化が起こりますので、それを登記簿に反映させる必要があります。具体的にはどのような登記が求められるのか、登記する目的や登記の内容、誰が負担するのかなど登記費用の内訳について解説します。
登記する目的は取引の安全と権利保全
不動産は誰の所有なのか、どのような権利が付着しているのかは不動産を見ただけでは分かりません。分からないまま売買などをすることは、リスクを伴いますので取引を安全かつ円滑に進めていくためには第三者が権利関係を確認出来る制度が必要になります。
そこで第三者でも登記簿に記載されている登記の内容を確認すれば、権利関係が把握出来るように登記制度があります。また、それぞれの権利者が不動産に関する権利を保全することも登記する目的です。
不動産を売却すれば、所有権が売主から買主に移転することになりますので、登記簿上の所有者も変更する必要が出てきます。売主の住所が移転してれば、現住所に合わせるための住所変更登記を所有権移転登記の前提として行うことになります。
抵当権が設定されていれば、所有権の移転登記をする前に抹消しなければいけません。買主側が購入資金の融資を受ける場合は、それを担保するために抵当権が設定されることもあります。
受益者負担の原則による登記費用の内訳
所有者の住所の変更や抵当権の抹消や設定など不動産売却に伴う登記がいくつかありますが、それぞれに費用の負担者が異なります。登記費用の内訳は一般的には下記の通りになります。売主側の費用になるのは、所有者の住所変更と既存抵当権の抹消です。買主側の費用は所有権の移転と新設抵当権の設定になります。
このように、一連の手続きでもどちらか一方が全部負担するわけではなく、また、すべてを折半するわけでもありません。登記費用の内訳は、登記をすることで利益を受ける側の負担が原則です。典型的な例は、所有権の移転登記なら新たな所有者になる人にとって利益になるので買主が支払います。
例外は抵当権設定登記で、抵当権者である金融機関が受益者になる登記ですが、融資を受ける際の契約に基づいて債務者負担になるのが一般的です。融資実行の利益は、債務者に有るので当事者間の契約でそのように定められているようです。
登記の目的は取引安全と権利保全で費用は受益者負担
登記の内容を確認すれば、不動産に関する権利関係が分かるようになっています。取引が安全で円滑に出来るようにすることと権利の保全が目的です。費用に関する登記の内訳は原則的に受益者負担ですが、一部例外もあります。