【不動産売却】空き家を売却する際の抵当権抹消登記(休眠担保権)を解説

相続した空き家に休眠抵当権がついていて売却できないという事例は少なくありません。極めて長期間、抵当権が付いたまま放置されており、抵当権抹消しない限り売却できない状態です。ここでは空き家と担保抹消について紹介していきましょう。

抵当権者と連絡が取れる場合の抵当権抹消方法

抵当権者と連絡ができる場合は、共同申請して仮押さえを取り消してもらうのが一般的な方法です。具体的には、抵当権者に登記義務者になってもらったうえで仮押さえを取り消してもらい、空き家の所有者が登記権利者として手続きすることで売却できるようにします。

特に抵当権者が親族であるとスムーズに手続きできる傾向があります。もし亡くなっていてもその相続人を把握したり、空き家と担保抹消に必要な共同申請の協力を得やすいからです。

抵当権者と連絡をとれるけど、空き家と担保抹消するための共同申請要請を拒否されたり、何らかの理由によってできない場合は、訴訟手続を検討することになります。

訴訟では、休眠抵当権をもつ原告全員に対して抵当権設定登記抹消登記手続き請求します。数ヶ月と時間を要するものの、相続人が多くて把握できなかったり、海外在住であるため共同申請に必要な同意手続きが困難となる場合に有効な方法です。

抵当権者と連絡が取れないときの空き家と担保抹消

仮押さえしている抵当権者と連絡が取れないことも珍しくありません。休眠抵当権は明治や大正、昭和初期などに設定されている事例も少なくないため、抵当権者が亡くなっていたり、法人が消滅している場合もあるからです。

このように抵当権者が行方不明担っている場合は、判決を根拠とした単独抹消登記申請した上で抵当権抹消するのが一般的です。

単独抹消登記をするさいの条件としては、債務を完済していることを示す借用書や書類、あるいは消滅時効を主張することになります。これが認められた判決をもとに抵当権抹消のための申請をします。ただし休眠抵当権の設定が古すぎると、返済額や完済の有無すらもわからない場合もあります。

このようなときは、設定された休眠抵当権に基づいた弁済供託金を法務局に供託して供託書正本を取得、それを根拠に訴訟します。休眠抵当権で設定されている債務額は、現在価値に換算されないため、債務額が10円であれば10円を供託金することになります。

休眠抵当権があっても空き家の売却はできる

いざ空き家を売却しようしたときに障害となる休眠抵当権ですが、抵当権者の同意があればスムーズに差押えを取り消せます。もし抵当権者の協力が得られなかったり、同意を得るのが困難な場合は訴訟手続をすれば、空き家の担保抹消できます。ただし判決を得るまでに数ヶ月かかるため、売却タイミングを考慮しておきましょう。